令和五年12月15日 北井一夫写真展

船橋は団地のまちだ。

昭和の時代、経済が急成長した。

男たちは都心の会社に勤めた。

結婚した男たちは妻とともに、都心から少し離れたまちに住んだ。

船橋に団地が建設された。

夫が都心の会社に勤める家庭は団地に住んだ。

夫は毎朝、団地の近くの駅から鉄道で都心の会社に通勤した。

妻は団地で子どもを育てた。

子どもにとって、団地はふるさととなった。

写真家、北井一夫は船橋の団地の風景を撮影した。

フナバシストーリーというタイトルで、撮影した作品を発表した。

北井は満州に生まれ、東京と神戸で育った。

船橋と北井とは、生まれや育ちの地において接点がない。

そんな北井が船橋の団地を撮影テーマとしたのはどうしてだろうと不思議に思った。

カメラマンとしてのキャリアをスタートさせた北井は、村をテーマにした。

都会で育った北井は、田舎で見ること聞くことすべてが刺激的で感慨深いものだった。

北井は、古き良き日本の姿をフィルムに収めた。

1984年、北井は新聞で団地の特集記事を読んだ。

それが北井の写真活動の転機となった。

北井は団地をテーマに写真を撮った。

それまで北井が追いかけていた「村」や「伝統」は、長男の世界だった。

団地は地方から都会に出てきた次男、三男の世界であった。

北井の撮る団地の写真は魅力的だ。

それは長年村を撮影してきて、日本の古き良き伝統に接してきたことと無縁ではないだろう。