文芸評論家の佐古純一郎先生は、ご自身の著書「文学をどう読むか」の中でこう書かれている。
批評という表現形式のなかで自己を語ることのよろこびを感じている。
こうも書かれている。
批評は私自身が誰からも強制されることなしに選んだ表現形式である。
表現形式はいろいろある。
音楽、絵画、小説などなど。
音楽にも絵画にも、そのなかでいろいろな形式がまた存在している。
こんなにもたくさん表現形式があるなか佐古先生は、誰からも強制されたものではない批評という表現形式で自己を語り、そのことに喜びを見出していた。
佐古先生に大学でお会いして40年たったいま、わたしは改めてこのことに気づいた。
湧き上がるようなものではないけれど、確かな確固として感動を覚えた。
わたしも、誰からも強制されない自分だけの表現形式で自己を語っていいのだ。
わたしはこれまで一体誰に何を遠慮していたのだろう。